デザイン

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学生の時、漠然とデザインやデザイナーという言葉にあこがれていたはずなのに、大学で学んでいる間に芸術、アート、デザイン、コンセプトなどという言葉に嫌気がさしていました。古い漆椀に美しさを感じた時に、それがデザインされているとは感じませんでした。誰かが作ったということも頭にはなく、ただそこに美しい器があるということだけが浮かび上がったのです。デザインやデザイナーの存在が消えて、当たり前のようにそこにある形。そのためには、あらためて、デザインする事、観察し、考察することが必要に感じます。デザインという言葉の意味が設計や計画ということを考えたとき、デザインするということがこれから、もっと必要で大切なことだと考えています。

 

 

note9感動を感動のうちに感じ尽くすような生活をしていないと気がついたころから、もっと思考する一歩手前で、すでに感じている部分を大切にしていきたいと思うようになっています。木や漆を使って制作することは、手触りや匂、音を感じながら制作する心地よさがあり、それは使うときにも、器同士のぶつかる音、手触り、など、見る以上の情報量で心地よさを感じさせてくれる素材です。

note8大学で指導する機会に恵まれ、若い学生に木工や漆を教えている。ある時のテーマは「カレー皿とスプーン」 短い授業の中で、学生にも負担であることを承知ながら、出題しました。口の中に入れる匙は機能が実感としてわかりやすい。匙を作るのは小さいのに手間がかかります。その苦労もあってか、使う側にとっては、手に入れると手放せないものになるはずです。特に漆器と組み合わせる匙は金属では傷がつくので木の匙しかありません。口に入れた時の優しさ、軽い事、カチャカチャ嫌な音がしない事など、手にしてみてわかる心地よさです。

note7あいまいな素材にあふれた現代の生活空間に、木や漆といった素材があることで、人の心に豊かさや、やすらぎが生まれているのだと、物を作りながら感じています。しかしその存在は、さりげなくあればいいのですが、ことさらにその存在感が全面にでてくると、とたんに居心地が悪くなってきます。一つの物が空間の中で存在感を主張しすぎることに違和感を感じます。