2つの目で見て、それを平面上に描き、再度2つの目で見ること、それはなんの仕掛けもいらない3D体験であるということに気がついている人が少ないことに、友人と話をしていて気がつきました。多少の誤差はあれ、作者と同じ2つの目の視点に立ち、見るからこそ、立ち上がり、広がる世界があるということ。だからこそ、絵画はオリジナルでなければ体感できない。もっとも作者が両目でよく対象を見ている条件での話ではあります。ステレオ写真を裸眼で見ることも出来ます。見えた時の驚きこそあれ、その体験は薄い立体感でしかなく、ましてや写真をトレースした表面的な絵では全く表現できないことなのです。絵画の前に立ち、作者の視点で追体験する時に見えてくるものがあるということ。絵画の鑑賞法にきまりはないのですが、作者の目線で追体験することと、少し離れた位置から絵画を眺めて、絵に向かう作者の姿を思い描く目線で見るのも好きな鑑賞法です。そんなことを考えていると、写真家の視点はどのようなものであるのかも気になっています。