学生がちゃぶ台を作った。古いちゃぶ台を観察し、自分の生活と照らし合わせて、新しいデザインを考えていた。考えれば考えるほど、その完成された構造と形に新しいデザインの余地がないと気が付いた様子だっだ。しかし学生が作ったちゃぶ台はちゃんと現代のちゃぶ台に仕上がっていた。ほんのわずかな足の形、幕板や天板の厚み、面の取り方、足の構造が作り出す空間の形、その選択の積み重ねが、デザインなのだということ。 なんでもないちゃぶ台にはデザインの入る余地がないということよりも、デザインの可能性や新しい形へのヒントがあふれているということに、こちらが改めて、気付かされた。